獣医師の職域は多様であり,我が国では伴侶動物・産業動物臨床獣医師,公務員獣医師,研究者獣医師などにそのニーズがある。また,諸外国と比較して,公務員獣医師(食品衛生,公衆衛生,家畜衛生)としての社会的ニーズが高い特徴を持っている。一方,世界的な農畜産物の流通と感染症の拡大を受け,獣医学教育には統一された教育内容が求められている。そのため,国際的獣医学教育内容の均一化に向け,欧州獣医学教育機関協会(EAEVE)や米国獣医師会(AVMA)などの評価組織により国際獣医学教育評価ワーキンググループ(IAWG)が設置され,検討が開始されている。
2011年に作成された獣医学教育モデル・コア・カリキュラム(獣医学コアカリ)は,科目単位の「学系カリキュラム」となっており,獣医学士・獣医師が必要とする知識・技能の全体像が明確に提示されていない。そこで学体系を脱却し,獣医学コアカリを「統合型カリキュラム」へと「改定」することで,真にコアとなるものを明示する。なお,これまでの獣医学コアカリは「改訂」することで,「学系カリキュラム指針」として共通教科書や共用試験の指針として利用する。
本改定により, 獣医学コアカリは国内の多様な獣医師職域に求められる獣医師像を明示するとともに,世界標準の獣医学教育を実践する基盤となる。